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人間関係を深めること


楽しい席にいるはずなのに、疲れるってありませんか?
決して、つまらなかったわけじゃない。周囲のギャグには笑ったし、自分もユーモアで笑わせた。
ところが、一人になった途端にほっとする自分がいる。
そうした情景についても、あなたのお心は、ご存知ではありませんか?
今回は、そうした微妙な人間関係心理を描きました。

AさんがBさんに、受け取りによっては、調子のいい物言いとなる発言をしました。
何を思ったのかAさんは、「これって、調子がいいかな?」と添えました。
会ったばかりのAさんとは、それ程親しくない関係であると感じていたBさんはどうしたか。
「気にしないで」と言いかけて、言葉を飲み込みました。
「これだけのことで嘘をつく自分」というのは、何なのだろうと思いました。
その気持ちを無視することは、案外、とても簡単なのでした。
でも、こうした一種のおべっかの積み重ねは、いずれ、Aさんを嫌う理由へと変わってゆくでしょう。
そう察するや否や、率直な思いを伝えることにしたのでした。

「うん。調子がいい。私にとっては、調子がいいと感じた。」
「さすがにそこまで言われると、厚かましさに感じられて不愉快なんだ。」
「出来れば、もう少し他者として、意識して、接して欲しい。」
「そこから、ゆっくり親しくなっていければいいなって思う。」

ところが、ところがです。
「調子がいいかな?」と尋ねたAさんでしたが、徐々に、怒りを見せ始めました。
どうやらAさんが、その質問を添えたのは、Bさんへの思いやりとも違ったようです。
軽薄な人間だと思われたくない。
そうした心理が、発言の軸にはあったのでした。
そう尋ねてみたAさんが、暗に求めていたのは、「あなたは軽薄じゃないよ。」という、Bさんからの思いやりでした。
その点をBさんが外したものだから、Aさんは怒り始めたのです。
Bさんは、その理屈に気づきましたが、Aさんは、そんな自分に気づくはずもありません。この場合のAさんはBさんに対して、決して欲深くない人間でもなく、自分の欲深さを意識しないだけなのでしたが・・・。
「欲深い人間のひとりが、自分でもある」だなんて、決して認めたくはない。
だからこそ、Aさんを悪人にしているわけでもないBさんの言葉に、倍に傷ついてしまったのでした。
Aさんは、自分のプライドに傷つき、プライドによって言葉を発していました。

人間には、プライドが喋らせる言葉と、それが作り出す世界とは裏腹に、シラフの自分がいるものです。そのシラフの自分と語り合う手段を持たない限り、他者のシラフは刃物にもなります。
Bさんは、Aさんの不自由さを気の毒に思い、悲しい気持ちになりました。
しかしながら、妙な我慢を重ね、いずれAさんを害してしまうよりは、何ぼも穏かでした。それに何と言っても、親しくなる道を完全に塞いだわけでもありません。

Aさんが、もっともっと自分の声や言葉に気づき、話し始めた時こそ、彼らについては、本当の始まりなのです。
人は、30年も40年も、上辺の交友関係を持つことも出来ますが、30年分、40年分の某日に出会う可能性も持っています。
多くの人間たちとすれ違う人生ですから、適度に浅い関係性もあることでしょう。
同時に、浅くは無いからこそ、衝突を踏まえる関係性も、同じくらいあってよいものなのかもしれない。
私は、そんなふうに思うのです。







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