| オリジナル短編小説 |
| 休息への扉 |
多忙な日々を過ごしそれが現実だと思っていたある日、その手紙は僕の手元に届いた。小奇麗な封筒に新鮮さを感じながら、封を開ける。 中には、一通の手紙と一枚の写真が入っていた。文字よりも絵を見てしまうタイプの僕は、写真を手に取った。 「どこの海だろう?」 穏やかな波打ち際と思しき水面と砂浜が、写っていた。 不思議に思いつつも初めて出会った気のしない、そんな身近さが気になった。 ささやかな好奇心と共に、手紙を開く。そこで、はっとした。 シンプルな内容だったが、充分な情報の詰まっている手紙だ。 送り主は、かつて遊んだことのある人物だった。 ここで言うかつてとは、僕が5、6歳の頃を指している。 そして、送り主はこんなコメントを添えていた。 『驚かせようと思って封筒には名前を書かなかったけれど、 ちゃんと読んで貰えたかな?』 僕は、噴出した。 …怪しいと思って、僕が開封しなかったらどうするつもりだったのだろう? 手紙には、久しぶりに「懐かしい海」で会いませんか?とあった。 休日など眼中に無かったが、勤続年数による休暇の使い方に困っていた自分を思い出した。 …先の問いは、手紙でも電話でもなく直接本人に言うことにしよう。
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